「夏休みの頃になると、二人ともバックからの変化球サーブが上達し、切れているサーブと切れていないサーブを混ぜたり、サイドスピンが強くかかっているサーブとかかっていないサーブを混ぜたりして、サーブでポイントが取れるようになっています。」

「二人ともサーブは、たちまち上達したのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ラッキーだったのは、その頃、千葉大の卓球部の主将をしていた『斎藤いわおちゃん』という近所の大学生が試合に加わるようになったことです。」

「千葉大の卓球部の主将が卓球を教えてくれたのですか」と町会長。

「いわおちゃんは、僕たちと試合をしただけで、教えるようなことはしていません。」

「それでも、卓球のレベルは上がったのですね」と町会長。

「実は、いわおちゃんと毎日試合をするまでに、レベルが上がっていたのです。」

「なぜ、卓球のレベルが上がったのですか」と町会長。

「サーブの練習とサーブをツッツキで返す練習を、鶴島と3カ月ほどしたためです。」

「しかし、相手が千葉大の卓球部の主将では、1セットも取ることができなかったのではありませんか」と町会長。

「それが、3人で21本の勝ち抜き戦をしたのですが、僕も鶴島も勝った記憶があります。それで、いわおちゃんは、夏休みの間、毎日、神楽殿に通うことになったのです。」

「千葉大の卓球部って、そんなに弱いのですか」と町会長。

「いわおちゃんは、『大学のリーグ戦は1部から6部に分かれていて、千葉大は4部校なんだ』と言っていました。」

「千葉大は、上から4番目のグループだったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それでは、弱くても仕方がありませんね」と町会長。

「しかし、いわおちゃんは、千葉県の男子一般のシングルスで優勝したことが自慢でした。」

「いわおちゃんが千葉県の大学のある町の試合で優勝したということはないのですか」と町会長。

「実は、優勝したときの賞状も、トロフィーも見せてもらっていません。」

「よく、話半分ということがあるのですよ」と町会長。

「僕が大学生になったころ、国分寺のロック喫茶に時々行っていました。」

「その喫茶店は、いつもロックを流していたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。そこは、レコードをかけていただけですが、吉祥寺には、フォーク喫茶とか、ジャズ喫茶などもあり、週1回ぐらいはライブもやっていました。」

「ミュージシャンが来て、生の演奏をしたり、歌ったりしたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。国分寺のロック喫茶では、ライブをすることはなかったのですが、今井さんという、同い年くらいの女子が、いつもカウンターに入っていました。」

「その子が目当てで、国分寺のロック喫茶に通っていたのですか」と町会長。

2021/4/22

<筆者の一言>
息子が社長から接待的というべき出張を仰せつかった理由については心当たりがある。息子の同僚は、皆、東大系のプログラマーだ。東大系で陰陽が分かる人は滅多にいない。そして、東大系のプログラマーは高性能のPCを使ってゲームもする。そのため、コロナがはやる頃までには、同僚は脳の機能低下で、プログラミングのスピードが息子の半分以下に落ちてしまっていた。

息子が働いている会社には残業がない。プログラミングにミスが全く無いことが知られているため、プログラミングの単価が高いからだ。東大系のプログラマーは脳の機能が低下しても、プログラミングでミスをすることはない。プログラミングの単価が高ければ、プログラマーは残業などしなくても、高額な給料をもらうことができし、会社も利益が出る。

息子は、毎日7時間働き、昼食に1時間休憩時間を取っていた。そして、コロナが全国的に広がるようになると、会社勤務の日と在宅勤務の日が入り交じるようになった。その時、社長は息子の上司の頭越しに、在宅勤務を8時間にするように息子を説得したのだ。息子のプログラミングのスピードが異常に速いため、通勤時間をプログラミングに回して、その分給料を上げてやれば、会社にとっても息子にとってもメリットがあると考えたのだろう。社長が接待的出張を命じた理由の1つは、息子が在宅勤務で1時間多く働くことに同意したからに違いない。<続く>

2024/4/12